2006/05/13

万年筆を受け継ぐ

3日前、家で使っていないペンなどを整理していて、古い万年筆を発掘しました!
父が昔使用していたらしいものです。

SAILORのもので、見たことがない細身でコンパクトな外見。
ところどころ剥げかかった黒い塗装のボディーに金の金具と、オーソドックスな色づかい。
しかし初め見たときはとても書けそうもないと思うほど汚なくて、
万年筆好きじゃなかったらその時点でゴミ箱に捨てていたでしょう。
インクも入りっぱなしでペン先について固まっているし、ペン軸の表面には錆も。
明らかに長く放っておいた感じで保存状態が最悪です。

とは言いつつもせっかく発掘したので、「捨てる前に」お手入れしてみることにしました。
まずペン軸、インクカートリッジ、など大まかに分解して洗浄。
ペン先についたインクを洗い流してみたら、ペン先は21Kであることが判明しました。
でもほかに情報は何もありません。
汚いのでとても高価なものにはみえないけれど、
…もしかしてちゃんとしたものなのかな??
などと期待しつつ、そのあと水の入ったコップに入れて一晩つけ置きし、
内部の汚れを流しました。
(この方法は万年筆の定期的なお手入れ方法で、通常1~3ヶ月に一度行います。)
ペン軸についた錆は少し残ってしまったものの、なんとか書けると思えるくらいに掃除完了。
自力で出来る範囲のことはすべてして、インクを再びとりつけて試し書き。
普通に書けました♪

そのまま使うこともギリギリ可能な気がしましたが、一度メンテナンスしてもらいたいなぁ、
と思ってSAILORのHPをチェック。
すると、あるじゃないですかペンクリニック!しかも今日!(金曜日)
水曜の夜に発掘し、木曜の夜洗浄、金曜にペンクリニックがあるなんて運命的~。

ペンクリニックというのはSAILORというメーカーが主催する無料イベントで、
万年筆に詳しい職人の先生が、持って行った万年筆のペン先を調整してくれたり、
使い方のアドバイス、メンテナンス方法の指導もしてくれます。
しかも、メーカー主催なのにセーラー製品じゃなくても診てくれるんです。太っ腹!
ランダムに全国を巡回していて、東京はほかの地方にくらべて開催頻度が高いのですが、それでも何ヶ月も開かれないこともあるので今回は本当に運が良かった。

18時までということで夕方ダッシュで丸善丸の内本店(OAZO内)へ。
息を切らしながらすべりこみセーフ。
あのー、家で発掘してきたんですが…、と正直に言うと先生は笑っておられました。
先生によると、その万年筆は30~40年前のものだろうということです。

さて、素人では分解出来ない(してはいけないと言われている)ペン先の部品を
先生が専用のペンチのようなピンセット(?)で分解しようとすると、あれ?

部品がとれた(取れてはいけないところで)(^^;

もちろん先生のミスではありません。
万年筆はペン先のいくつも溝のついた部分にインクをちょうど良い量蓄えるようになって
いて、その部分を'竹やり'というのですが、そこはプラスチックで出来ていて、
経年劣化してしまったようです。
先生が「あ~」と言った瞬間、やっぱり古すぎてだめだったのかと一瞬あきらめました。

けれど結局その‘竹やり’さえ取り替えればまたあと3、40年は使えるというお話。
3,40年前のものであと3,40年使えるというのだから、
やっぱり万年筆って一生使うものなんですよね。
そういえば、万年筆はスローライフ時代に相応しい筆記具としても今注目されているよう
ですが、私も万年筆を使う満足感は、使い捨てではない筆記具を使っているところにも
大分あるように思います。

とりあえずその場でペン先(金属部分)の調整だけしていただきました。
当然ながら最初に私が書いてみた時よりかなりよい書き味になりましたよ~。
部品交換と一緒に気になっていたペン軸の錆部分も磨いて頂けることになり、
この万年筆の数週間入院が決定。

発掘から入院まで、あまり考える暇もなくとんとんと進んでいってしまったのですが、
帰りながらだんだん実感が沸いてきました。
うわー、万年筆を受け継ぐんだー。

これが父が長年大事に使っていた万年筆を子供が受け継いだ、というのなら
よりカッコイイお話しになるところですが、
放っておいたものを発掘した、というところがなんとなく私と私の家族らしい感じ。(^^;
でもこれもこの万年筆にまつわる大切な思い出の一つになるでしょう。

モノって、思い出も含めてそのモノなんですよねぇ。
初めての中古万年筆!
きっと一生大事にすると思います。

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